感謝の手紙として

のぼりとの杜コラム

葬儀のお手伝いをしてると、大切な方へ感謝の想いを抱く方はとても多いです。
「今まで、ありがとう」
「(母親に)産んでくれてありがとう」
「できの悪い息子でごめんね」
「孫たちはこんなに大きくなったよ」
「〇〇への旅行はいい思い出だよ」あ
故人様に向けての言葉はそれぞれですが、「感謝」という念が込められています。
述べるタイミングは、息を引き取った瞬間であったり、ご自宅にご安置した時であったり、葬儀の最後のお別れの時であったり…。
そこに立ち会っているとき、我々も思わず“涙っ”と来るときも珍しくありません。

でも、まだまだその言葉だけでは足りないのだろうなぁと感じることもあります。
なかなかその思いを言葉にして伝えること。家族と言えどもどことなく人前で発することは恥ずかしかったりしますよね。

そんな時は、是非お手紙にしてみてください。例えば、両親に対して手紙を書くことってほとんどなかったりします。
手紙はひとりでゆっくり書けます。故人様への感謝の想いを思う存分、書いてください。ルールも書式もありません。手紙は書くことによってご自身の気持ちにもどことなく安堵感が生まれてきます。
不思議な魔力です。これはメールやLINEとはまた違う感覚です。

よく、お孫様が亡くなったおじいちゃん、おばあちゃんに手紙を書いてご持参いただけます。おそらく、その手紙には素直な気持ちが書かれています。
子供だから、孫だからではなく、大人だっていいのです。
葬儀が発生すると慌ただしくなります。そちらばかりに気を取られがちですが、故人様と向き合う時間を少し作っていただき、机に座りペンを取り思いを綴ってみてください。
そこには自分自身と故人様だけの時間が生まれます。
そして、その手紙をお棺に眠る故人様へ手向け、天国で呼んでもらいましょう。

思いをしまい込む必要はありません。逆に苦しくなってしまうこともあります。悲しみ、感謝、故人様への想いはすべての人がお持ちです。決して「私だけがこの想いを吐き出せずに苦しんでる」わけではありません。

『想い』を『重い』にしないためにもこの「故人様への手紙」。頭の片隅に覚えていただけたら幸いです