平成27年度の調査では、65歳以上の男性の8人に1人、女性では5人に1人が一人暮らしをしていると発表されています。
その中のすべての人が身寄りがないというわけではありませんが、今回は、身寄りのない方のお葬式についてを紐解いていこうと思います。
頼れる親戚や子どもがいない場合
「後見人制度」を利用することで、いざ自分が介護が必要になった時や、認知症になってしまった時に、財産の管理や入院、施設入居へ手続き。またお葬式、死後の手続き等を後見人に任せることができます。ご自身の代理となっていただく制度です。
後見人には2種類あります。
<法定後見>
すでに判断能力が低下している → 家族が裁判所に申し立てをする → 法廷後見人の選定(裁判所が選定)
いわば、痴呆症や知的障害などが生じ、判断能力がなくなった後で、国が後見人を定めることになります。弁護士や司法書士などの士業の方、市民後見人が選定されるケースが多いようです。
<任意後見>
まだまだ元気だけど、将来のことを考えて後見人を付けたい(本人が決める)→ 本人と後見人が契約→ 後見人が必要になった際に後見業務の開始
こちらは、ご自身が元気なうちに後見人を誰にするのかを決めておくことができます。
後見人には、家族や親戚のほかに、ご友人もなることができます。
必要な書類を家庭裁判所に確認し、家庭裁判所に申し立てすることで、その人に後見人になってもらうことが可能です。
お葬式やお墓のことなどは、死後のことになるので死後事務委任までもしっかりと取り決めしておくと安心でしょう。ご自身のお葬式の形を後見人に伝えておくことが大切になります。
全く身寄りがいない
身寄りがない方が亡くなった時は戸籍を辿り、ご親族へ連絡が入ります。そのご親族が引受人になれば、その方が葬儀の段取りをすることになります。
もし、引き受けを拒否した場合は自治体が葬儀を行うことになりますが、最低限の火葬のみを行うことになり原則、宗教儀礼などもありません。本人に財産があれば費用はそこから捻出ですが、財産がない場合は自治体が負担します。
ご親族がご遺骨の引き取りも拒否した場合は一定期間、自治体で保管をし、その後、無縁墓(合祀墓)に埋葬されます。
生活保護受給者の場合
自治体から葬祭費の支給を受ける制度を利用します。この制度の利用は
・お亡くなりになった方が生活保護受給者であること。
・喪主になる方が困窮等で生活保護を受けている。
上記のどちらかが条件に当てはまる場合に利用ができます。
火葬に必要な最低限の金額支給となるため、火葬をする(直葬)の費用とお考え下さい。
制度の利用には事前申請が必要になります。火葬後の申請はできないので注意が必要です。生活保護葬を取り扱ってくれる葬儀社に依頼をすれば、自治体とのやり取りはやっていただけます。
身寄りがなかったり、ご家族と疎遠で不安を抱えている方も多いと思います。私も葬儀の現場に携わる側として、身寄りのない方の葬儀(火葬)が増えている実情を感じています。日本は超高齢化社会に入っています。寂しいと捉えるのではなく、これからの安心生活のためにも、今のうちに元気なうちに準備をしておくことが大切に思います。