釘打ちの儀という儀式をご存知でしょうか。
お通夜・葬儀が終わり、故人様にお花を手向け最後のお別れをします。
その後はお棺のお蓋閉めとなりますが、その際に蓋に釘を打ち付ける儀式が【釘打ちの儀】です。
さて、このような儀式をなぜ行うようになったのでしょうか?
土葬が主流だった頃、運んでいる最中に蓋が外れてしまわないように、また、死者を封じるといった意味合いがありました。
釘打ちの儀は遺族が行います。故人様との関係が近しい方から二回ずつ釘を打ちます。最後に喪主様または葬儀社のスタッフによって最後まで打ち付けます。釘をまっすぐに打ち付けなければいけないので緊張の瞬間です(・_・;)
亡くなった方は三途の川を渡ってあの世へ旅立つと言われています。三途の川の河原にあるようなこぶしほどの大きさの石で釘を打ち付けていましたが、近年では金づちを使用することが多いでしょうか。釘打ちセットという商品もあります。
火葬が主流になるとともに、釘打ちをせずとも蓋が簡単に外れることのないような棺となりました。その流れからか都市部を中心に釘打ちの儀を行うことは少なくなりました。釘打ちの代わりに、棺の蓋を閉める際にはご遺族、ご親族の皆様が蓋に手を添えてお蓋を閉めます。経験のある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
宮型霊柩車、釘打ちの儀、忌中用紙の貼付など、昔からある葬儀慣習を見ることは少なくなってきましたが、もちろんご希望に添うこともできますので、「釘打ちの儀」もご希望の際は仰ってください。
葬送の儀は全てにおいて意味のあるものです。一つひとつを衰退させるのではなく、慣習が希薄になってもその意味はしっかりと継承していくことが大切に思います。葬儀社の役割でもあるので、忘れずに努めたいと思います。