葬儀業界に入り十数年。業界に入ると先輩方の言葉遣いのすばらしさに感銘と衝撃を覚えました。
こんな綺麗な御淑やかな言葉遣いは私に習得することができるのだろうか。と不安に駆られお客様と話すことが恐くなったくらいです。
その言葉の中にはもちろん葬儀の専門用語もずらりと並ぶ。「何語だ?笑」と思うくらいです。
先輩からは「お客様に失礼があってはいけない」「言葉遣いは人を見られるから丁寧に」と口酸っぱく言われたことを覚えています。
お客様からの衝撃の指摘
専門用語も覚え、言葉遣いもある程度は習得し業務にあたっていた2年目。あるお客様にこう言われました。
「表面上の言葉遣いならやめてくださいね。仕事をやらされている感が好みではないので。」
すなわち、心から接していないマニュアル対応と見透かされたわけです。言葉が出ませんでした。
しかし、強ち、的外れではなかったのでショックというよりも「あれ?何でそう思われたのだろう」とまだまだヒヨッ子の私にはその現実を理解することに精一杯でした。
『心から接していない』決してそんな姿勢で仕事はしていませんでした。ただ、自分をカッコよく見せたかったんだろうなという思いが強かったのだと思います。単なるエゴですかね。お恥ずかしい限りです。
どう取り組んでいいのか悩んでいる中でも業務は続きます。毎日、様々なお客様と接します。不安も持ちつつ、大きな打開策もなく今まで通りに仕事をしていました。
あのようなご指摘をいただいたことも1度限りでしたが、ずっと心に引っかかっていました。
救われた住職からの助言
あるご葬儀の担当時、住職との打ち合わせの際に住職から「君はこの仕事が好きか?好きには見えないな。」と言われました。私は「好きですが言葉遣いの不安」を打ち明けました。
「言葉遣いは気にしないこと。それよりも個性を出して自分の言葉で心を込めてお客様と話す。一生懸命さは相手に伝わる。好きだからこそもったいないよ。」
確かに『個性のない自分の言葉』でした。マニュアルで覚えた機械的な言葉ではお客様によっては全く響かないわけであります。
巷でもそう感じる店員さんいますよね。正しくそれだったわけです。
住職からの『個性』と『自分の言葉で』この助言は私の気持ちを楽にしてくれました。この日を境に自分らしくを心がけ業務にあたることになります。難しい表現は避けて専門用語もわかりやすく。そして、何よりお客様の立場に立って。こんなことを強く意識するようにしました。
不思議なものです。言葉遣いの所作にばかり縛られていた自分の気持ちが楽になり、より一層そのご家族のことを素直に考えられるようになりました。私のお客様に接するスタイルの基礎もここにあります。
毎日が勉強です。成長途上です。ご指摘がありましたら遠慮なく言ってください。私の大きな財産になりますので。
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