最後のデートは思い出の川沿いを

のぼりとの杜コラム

ご葬儀のお手伝いをしていると

時々、お式場から火葬場へ向かう際に

「自宅の前を通ってもらえませんか」などのご依頼を

いただくことがあります。

最後に縁の深かった場所を見せてあげたい

という ご家族の優しさですね。

 

何年か前に

都内の大きな川の近くにお住まいだった故人様が

火葬場へと向かう際、奥様から

川沿いの道を通りたいとのご希望がありました。

 

故人様は生前 健康のためにと

その川の河原をお散歩するのが日課で

奥様もよくご一緒に 四季折々の景色を楽しみながら

歩かれたそうです。

ご病気をされてからは外出もままならず

河原の景色もご覧になれなかったのだそうです。

 

私は 故人様と奥様が車に乗るのを見届けてから 

先に火葬場へと向かい手続きを済ませて

故人様と奥様を乗せて川沿いのルートを回って来る

霊柩車を待ちました。

 

到着して霊柩車から下りて来られた奥様に

「お散歩はできましたか」と尋ねると奥様は

「はい、たくさんお話ができて、楽しかったです」

と、にっこりと笑ってくださいました。

 

火葬場へと向かっているのですから

とても悲しいことに変わりはないはずです。

でも、お元気だった頃のご夫妻での時間を

少しでも取り戻すことができたのかなと

奥様の笑顔を拝見して ほっとしたのを思い出します。

 

と、ここで!

葬儀屋さんからのお願いです。

 

もしも、もしもご家族に万が一のことがあって

最後に見せてあげたい場所

通ってあげたい道などがあるようでしたら

できるだけ早いタイミング

葬儀社の担当の方に伝えてみてください。

 

特に首都圏の場合には

火葬場に到着する約束の時間が厳しいことや

道路事情など、色々な理由で

100%叶えられるとは言えないのですが、

それでも最初のお打ち合わせの段階でご希望が伺えたなら

ご葬儀の時間を調節したり 運転手さんと相談したり

きっと一生懸命相談に乗ってくれると思います。

 

限りある時間の中でも

なんとかして 故人様とご家族の希望を

叶えて差し上げたいな~

と思うのが “The葬儀屋さん” なのです!