故人様が最後に取り持つ「縁」とは

のぼりとの杜コラム

葬儀に参列する方はご家族はもちろん、これまで故人様が歩んできた人生においてご縁のあった方やお世話になった方が最後のお別れとして参列します。
家族葬が主流の昨今ですが、ご家族は故人様がお付き合いのあった方を意外と知らなかったりします。
例えば…
・会社の先輩や後輩、また取引先の人
・学生時代からの旧友
・趣味やサークル等での仲間
などが挙げられます。
私の母の葬儀は意志に従い家族のみで行いましたが、母の遺品を片付けているときに、仕事関係の友人であろうと思われる方々の連絡先リストが出てきました。電話で訃報を伝えたら、『私の知らない様々な母の顔』を教えてくれました。涙が止まりませんでした。リストを見つけていなかったらと思うと今でもゾッとしてしまいます。

葬儀は故人様を弔う場であると同時に、所縁のある方々へ故人様に成り代わってご家族が御礼を述べる場でもあります。
ご家族は参列した故人様と所縁のある方とは初対面かもしれませんが、その方から
「最高の先輩でした」
「会社ではユニークで誰からも慕われていました」
「学生時代は〇〇な人だったんですよ」
などのお話しが聞けると、それまで知ることのなかった故人様の外での人柄や人脈がここで初めてわかったりします。もし、お身内のみのご葬儀であった場合、ひょっとしたら上記のような故人様がお世話になった方々とはこの先、会うことがないかもしれません。所縁のある方々は思っている以上に最後のお別れをしたいものです。

話を自分自身に置き換えてみるのも良いと思います。「今、お世話になったあの人が亡くなったら」と考えたとき、「最後のお別れには絶対に伺いたい」と思える人が数人は思い浮かぶのではないでしょうか。しかし、そのことをご遺族が知る範囲はとても限られています。
葬儀で後悔しないために。
目の前の費用や葬儀社選びだけを考えがちです。しかし、葬儀は「大切な最後のお別れの場」として考えたとき、所縁の方々が参列し、ご家族が知らなかった新たなお話しが聞ける。そして生前の御礼が述べられる。故人様自身が葬儀を通じて最後に取り持ってくれたご縁なような気がします。

これをもし知らなかったら…。
葬儀の後悔はこういった場面からも起こりうるのです。