厚生労働省では在宅での看取りを推進(今後、確実に増えていきます)していますが、まだまだ病院や施設で看取る方がほとんどです。
今回は、病院や施設で看取った時に葬儀社に連絡をするタイミングについてお話ししたいと思います。
まず、逝去後の流れを簡単に説明いたします。
・医師による死亡診断 → 医療器具等が外されます → 看護師さんや施設のスタッフの方によって故人様のお身体のケアやお召替え(エンゼルケア)→ 死亡診断書を受け取る → 葬儀社の到着 → 故人様ご搬送
このような流れが一般的です。
病院や施設側からも「葬儀社に電話をしてお迎えに来てもらう」ことを促されます。特に病院では長く滞在はできませんので迅速に葬儀社の手配が必要になります。
ここで、葬儀社に電話をするタイミングです。
さきほどの逝去後の流れのどこかで葬儀社に連絡をするわけですが、一番ベストなタイミングは医師による死亡診断がなされた直後になります。直後と言っても、息を引き取った後は頭が真っ白になったり動揺したり、悲しみがこみ上げたりと、冷静に行動をすることはとても難しい状況です。
ですので、まずは温もりがあるうちに故人様の肌に触れながら声を掛けて差し上げてください。ひと呼吸つくことが大切になります。死亡診断がなされた直後というのはこの『ひと呼吸ついた後』ということになります。
葬儀社にお迎えの連絡を入れるタイミングは弊社ではこのタイミングを推奨しています。理由としては、逝去後、死亡診断書の発行までにおおよそ60分~90分ほどかかるケースがほとんどです。この時間の中で死後の処置(エンゼルケア)も行われます。そして、葬儀社もこの時間内にお迎えの準備をして、寝台車を手配し車を走らせます。そうすることにより、死亡診断書の発行と合わせてお迎えに上がることができます。早く寝台車が着きすぎても、故人様の出発の準備が整っていなければ寝台車は待機となり、状況で待機料金(留置料金)が生じることもあるのです。
逆に、死亡診断書も発行され、故人様の出発の準備も整ってから葬儀社に連絡をすると、そこから寝台車の手配となるため、ご家族も故人様も車の到着まで待つことになります。お迎えの場所の距離や交通状況にもよりますが、そこから60分以上待つケースも出てきます。
以上のことを踏まえ、葬儀社に連絡をするタイミングとして『逝去後、ひと息ついた後』が一番スムーズになるのです。
文中でも記しましたが、病院では逝去後、故人様の出発の準備が整うと長い時間の滞在ができません。霊安室の数は限られていますし、次に逝去された方が霊安室が使えず不便になることも理由のひとつです。また、自然と病院では「早くしなくては…」の空気感になるといいます。なかなか葬儀社が決まらないと病院側から急かされることもあるようです。(←個人的にこれは好ましくないですが)
葬儀社が決まらない場合は、病院や施設側から葬儀社を紹介されることもあります。その場合は「故人様の搬送だけ」を依頼しましょう。決して全てお任せすることはしないようにしてください。ご搬送後にゆっくりと葬儀社を決めればいいのです。
まずは病院や施設を出発することがここでは重要なのです。
今回は逝去後に葬儀社に連絡するタイミングのお話しでした。参考にしていただけたら幸いです。
逝去後、気持ちが動揺する中でも進めなければならないことはあります。少しでも気持ちにゆとりを持っていただくためにも、やはり葬儀社を決めておくことは大切なのです。
なお、病院や施設によっては仕様が異なる場合がありますので予め確認しておくと良いでしょう。