葬儀の時の「喝!!」

のぼりとの杜コラム

某情報番組のスポーツコーナーで至らないプレーの場面に「喝(カーッ)!!」を入れる。見たことや聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
「喝!!」を入れられる時って悪いことをした時や気合を注入してもらう時に表現するイメージありますよね。
実は葬儀の時にも「喝!!」を入れられる場面があるのです。
お寺様がおもむろに立ち上がり、祭壇のお位牌や位牌に向かい何やら小さな声で唱えています。
長いお線香を持って儀式的なこともしています。すると突然、式場内に響き渡る大きな声で
「喝(カーッ)!!」の雄叫びが…。
初めて聞く方は驚くほどのお寺様の声です。お経でうとうとしていた方もビクッと目を覚まします。

実はこれは引導と呼ばれる作法なのです。
引導とはこの世からあの世の仏の道へ導くための儀式です。「この世に未練はないぞ、安らかに浄土へ旅つのだ」と死を自覚させる(生をあきらめさせる)意味があるそうです。
引導を渡すということわざもここからきています。
この「喝!!」が入る引導作法は主に禅宗(曹洞宗や臨済宗)の葬儀で行われます。
我々、葬儀スタッフも何度も現場では経験はしているものの、引導作法の「喝!!」の瞬間は背筋がピンと伸びることが少なくありません。
葬儀の時にまさかの「喝注入」。故人様への導師から最後の叱咤激励なのかもしれませんね。
曹洞宗や臨済宗のご葬儀に参列した際には引導作法に是非、注視してみてください。