日本のお葬式といえば、やはり、お寺様にお経をあげていただく“仏式”が多いです。仏教では亡くなった方は極楽浄土へと向かわれます。仏教にはたくさんの宗旨宗派があるので、これはとても大雑把な言い方ですが、極楽浄土で仏弟子になるという考え方です。一方で神社の宮司さんが司式を執り行う“神道式”でのご葬儀も一定数行われていますが、神道では亡くなったらどこかへ行くのではなく、その家に留まって永くその家の守り神になると考えられています。
ある神道式でのご葬儀で、ご出棺前に喪主様がご挨拶に立たれました。亡くなられたご主人はまだお若く、ご家族は喪主を務めた奥様と、まだ学生さんのお子様が二人。お子様と並んで会葬者の皆様の前に立たれた奥様はゆっくりとご主人に確かめるように話されました。
「神道のお葬式の考え方では、亡くなった人はどこか遠くに行ってしまうのではなくて、家を守ってくれる神様になるとうかがいました。主人はとても真面目で、几帳面で、家族思いの人でしたので、きっとこれからは、100パーセントのセキュリティで、私たち家族と家を守ってくれるんだと思います。とても悲しいことに変わりありませんが、そう考えると少し気持ちが楽に、というか、安心できる気がしています」
どんな宗旨でも、また無宗教式での葬送であっても、大切な方とのお別れはとても悲しく寂しいものですが、残った方たちがそれを受け止めて前を向くために、ご葬儀の時間も、色々な宗旨での儀式もあるのだと思います。
ご主人の死をこんな風に受け止めていらした奥様はとても素敵でした。きっと旦那さまは最強セキュリティの神様となって守ってくださることでしょう。