失敗しない直葬のために

のぼりとの杜コラム

故人は生前から「火葬するだけの質素な形でいいからな」と口癖のように言っていました。

葬儀の相談は、このように始まることも少なくありません。
故人様、ご家族様の意向に添いお別れのアシストをすることが我々葬儀社の役割です。

しかしながら、直葬から、葬儀を行いたいと気持ちが切り替わることも珍しくはありません。
故人様がご自宅にお帰りに(ご安置)なった後、「本当に火葬だけで良いのかな。儀式としてお通夜・葬儀を行った方が良いのかな。」と家族の意見と故人様の遺志との間で葛藤があります。

いざ、葬儀をするかしないか決める場面になると、迷ってしまうのも当然です。
ご逝去されてから、火葬するまでの時間は限られています。

私たち葬儀社はご家族に、「あの時この選択をしてよかった」と思っていただくことが何よりです。
そのために私たちがいるのですから。

「私が死んだら火葬するだけでいい」
「俺の葬式は挙げなくていい」

私、俺を「子供」や「父や母」、「大切な友人」に置き換えてみてください。

大切なことは、これからも生きていく残された側の気持ちだと思います。
亡くなった人は、周りに金銭的負担を軽くするために「火葬のみで良い」と言っているのかもしれません。生前に話ができるのであれば、何故「火葬のみで良い」と考えたかをよく聞いてあげることが大切です。
繰り返しになりますが、大切なのはこれからも生きていく残された側の気持ちです。
残された方々が後悔してしまっている姿はあの世から見守る故人様も見たくないはずです。

火葬のみを行った場合でも、後で葬儀を行うことは可能です。ご遺骨となられた故人様をお祀りし、【骨葬】という形で弔うことができます。

●最後に「火葬のみ」を選択する時によく考えていただきたいは理由こちらです。
①お別れの時間が十分に取れない
火葬のみ(直葬)は言葉通り、火葬場でのお別れだけです。時間にして5~10分ほど。ご自宅にご安置が可能であれば、そちらを選択することをお勧めします。

②宗教者に供養してもらわなかったことを後悔する可能性がある
菩提寺をお持ちの方はお寺様と必ず事前に相談が必要です。お墓に入れない等のトラブルが発生する場合があります。

③親族から文句を言われることがある
特に地方の親戚は、通夜・葬儀を執り行わないことを理解できず、不満に思う方もいらっしゃいます。今後の親戚関係にヒビが入らないように、事前に理解を得ることが大切です。