家族葬と費用の錯覚

のぼりとの杜コラム

『家族葬は費用が安くなる』
こんなイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか。
家族葬という形式は20年ほど前から始まりました。当初、家族葬の意味合いとしては「家族の想いが込められた葬儀」として始まった言われております。時代背景や葬儀の多様化に伴い、その意味合いが「家族だけで送る葬儀」と変化していったのです。

しかしながら、今でも家族葬の定義はご家族ごとに異なります。
・家族だけで
・家族と親戚だけで
・家族と親戚と仲の良かった方のみ
・家族と親戚と仲の良かった方と近所の方数名
等々、様々なバリエーションが生まれます。家族+『どこまでの方々に声を掛けるか』これが現在の家族葬の考え方の主流であります。みなさまの家族葬は?

さて、冒頭にも記した『家族葬は費用が安くなる』のイメージですが、みなさまはどのように捉えますでしょうか。
ひと昔前は社会的体裁(見栄や見映え)を気にするあまり、祭壇を“豪華に立派”にという考えが葬儀の中では多くありました。しかし、現在は違います。故人様とご家族の考えや想いが反映される葬儀を中心に考えるようになっています。葬儀が“簡素化”なったという表現をする風潮もありますが、私は簡素という言葉は使いたくありません。家族の想いが込められているのであれば決して簡素という言葉で片付けてはいけないのが葬儀だと思うからです。

閑話休題

費用についてでした(^_^;)
葬儀の費用はすなわち、お財布からいくら捻出するかということです。いわば、お買い物でもあります。

家族葬と費用の錯覚
費用の比較をしてみます。
『家族のみ』の場合と『一般の方50名が参列(近所や仲の良かった方、お世話になった方)』での比較です。
結婚式で御祝儀を頂戴するように、葬儀ではお香典を預かります。お香典は故人様、ご家族様への弔意です。「どうか、お役立てください」との気持ちが込められています。

仮に葬儀に費用が80万円だったとします。
一般参列の方50名の方のお香典平均を7,000円とすると7,000円×50名=350,000円がお香典収入となります。その他に、参列できなかった方のお香典を預かって来る方もおられます。それを加味すると、そこから+αのお香典収入となります。
【葬儀費用80万円-(お香典収入35万円+α)= 45万円(-α)』
単純計算ですが、この45万円がご家族の持ち出し分(お財布からの捻出)ということになります。
家族のみでの家族葬の場合、お香典収入がなく葬儀費用80万円がそのまま持ち出し分となるわけです。

文中にも書いたようにご近所さまなどの参列の方がいるから“祭壇を立派に…”の体裁的意識はもう過去の考えです。(まだ中にはそれを逆手に取る葬儀社もいますが)ほとんどの葬儀社はご家族の想いを汲みながらご提案しますので、そんな無下な(寂しく映る)祭壇を用意はしないはずです。

今回は家族葬と費用の錯覚をテーマにお伝えしましたが、葬儀は決して費用だけで満足感が決まるものではありません。また、多くの方に声を掛けなければいけないということではありません。今回のテーマ『家族葬=安くなる』という誤解が生じないためのケーススタディです。
葬儀を終えた後にわかるのが葬儀費用の実感です。「安かった、高かった、希望通り」などの感覚は人それぞれです。そこには費用も大切ですが、希望通りの葬儀=満足感がリンクします。ご家族ごとに異なるのが家族葬の考えなのです。その上で、『家族葬は安い』と一概に結びつかないということを少し頭の片隅に置いていただけると幸いです。

「我が家の家族葬はこの形で!」とご希望を伺い、満足いくものを提供できるように、これからもみなさまの目線で情報を発信していきたいと思います。