間違えやすい香典袋の表書き

のぼりとの杜コラム

先日の一日葬でのご葬儀で、とあるご家族が少々揉めている場面がありました。
親戚の葬儀に弔問に来られたご家族がお香典のことで何やら…。

背景としましては、ご家族4人(父と母、大学生の娘さん、社会人と思われる20代くらいの息子さん)で弔問に来られたが、それぞれ別に暮らしており、式場で合流のようでした。
息子さんは社会人ということもあり、個別にお香典を持参しておられました。どうやら、そのお香典の袋が違っていたようです。

違いに気が付いたご両親が「社会人にもなって、そんなこともわからないの?恥ずかしいでしょ!!」と小さな声ながらも、息子さんを責めています。息子さんは「そんなの知らないんだけど…」と言っていましたが、人生の先輩でもある親御さんは、しっかり見ていたのです。
そのお母さんから「香典袋ありますか?」と声を掛けられたので、こちらでご用意をいたし、安堵の様子で受付を済まされました。

香典袋の表書き
御霊前…通夜、葬儀で使用する香典袋の表書き(49日までは使用可)
御佛前(御仏前)…49日法要やその後の法要等で持参する香典袋の表書き
御香典(御香奠)…通夜、葬儀、法要でともに使用できる
※今は香典袋は表書き別で売られていたり、数種類の表書きが書かれた短冊がセットになって売られているので、用途に応じて使用してください。

覚え方として。。。
・49日までは浄土への旅の途中であるので、故人様は仏様には、まだなっていない。すなわち彷徨っている途中ということで御“霊”前
・49日を迎えると浄土の世界へ辿り着き、無事に仏様になられたということで御“佛”前。
どうです?覚えやすくないですか?(;^_^A
ちなみに浄土真宗では誰もが即身成仏の教えから、浄土への旅の概念がないため、通夜、葬儀の際にも御仏前の香典袋でもOKです。

葬儀に携わる側からしますと、お気持ちがしっかりと伝われば、「御霊前でも御佛前でも香典袋はどちらでもいいですよ…」と言いたいところですが、葬送儀礼のマナーのひとつとして、覚えておいて損はないので是非、覚えていただけたらありがたいです。知っている人は知っていたりするんですよね(・・;

でも、いたしかないよなぁ。学校では教えてくれないもん。自然に身に付く人もいれば、ずっと全く知らずにいる人もいる。非日常的な出来事であるからこそ、必然に思います。でも、誰かが教示し伝えて行かねば。葬儀社の役割でもあると思って、今コラムにしています。

ところで、息子さんが持参した香典袋の表書き。そうです。御佛前と書かれた香典袋で持参されていました。息子さんは、今回の件で新たな知識が増えてくれたかな。。。!?

☆こちらも是非、ご覧ください
過去コラム『お香典はいくら包めばよいの?』