エンバーミングと湯灌の違い

のぼりとの杜コラム

「エンバーミング」と「湯灌」の違いは何でしょう?
今知っておけばいざという時に役に立ちます!

 

エンバーミングとは・・・
遺体の血液を排出し、防腐効果のある薬液と交換をします。薬液によって肌の血色が良くなり、生前の姿に近づきます。
これによって、感染症を防ぐ効果や、ご遺体の長期の保存が可能になります。お別れの際、安心して故人様に触れてさしあげられます。
もともとは欧州で広まったもので、南北戦争での戦死者を自国に帰すために行われました。現在は外国人が日本で亡くなった場合、エンバーミングを義務付けている国もあります。
日本でエンバーミングをするメリットとしては、亡くなってからお葬式までの日にちにゆとりが持て、すぐに火葬をせずに故人様とゆっくりと過ごすことができます。また、海外にいる家族の帰国を待ってから慌てることなくお葬式が行えます。
エンバーミングをするには専用の施設に、ご遺体を搬送する必要があります。施術には立ち会うことができませんが、2~3時間程で施術が終了します。施術終了後はお体や髪の毛を洗い、ご希望によりメイクを施します。

 

 

湯灌とは・・・
もともとの湯灌とは、逆さ水(水を張り、お湯を足ながら作るぬるま湯)でお身体を洗い清める(拭いてさしあげる)ことを意味します。現在では納棺師がご遺体専用の浴槽を使用し、お体や髪の毛をお湯やシャワーできれいに洗います。お体はタオルで隠し、なるべく肌が見えないように行います。ご希望によりメイクを施します。
エンバーミングとは違い、感染症予防の効果は薄くなります。
しかし、湯灌は立ち会うことができるので、お湯をかけてあげたりもでき、故人様が穏やかな生前のお姿に戻られるようお心を込めてご家族やご友人さまらと一緒にお手添いが可能です。湯灌を行っている時に生前の故人様との思い出を親しい方とお話をすることにより、グリーフケアにも繋がります。入院中や療養中にお風呂になかなか入れなかった方や温泉がお好きだった方には湯灌は大変喜ばれます。本当に湯上りのような表情になります。
人は産まれた時にはすぐに産湯に入りますよね。人生を全うした時にも最後はお湯に浸かり穏やかに…。日本人ならではのものが湯灌なのです。
湯灌は専用の入浴車で給排水ができますので、葬儀会館はもちろん、入居施設やご自宅でも行えます。

 

エンバーミングと湯灌の違いをお分かりいただけましたか?
中には両方を行う方もいらっしゃいます。個人的には湯灌は本当におすすめです。文中でも触れましたが、湯上りのようなお姿になり、ご家族の方もみなさん喜んでいただけます。終焉を迎えた故人様に「おつかれさま」と感謝の意味も込めて湯灌を希望される方も数多くいらっしゃいます。

最後のお姿はとても記憶に残ります。
大きな祭壇や立派なお棺を選ぶだけがご葬儀ではありません。故人様にして差し上げられることはたくさんあります。「あの時こうしておいてよかったね!」と振り返られるお葬式を考えることが大切です。