絶対にしてはいけない“釜落ち”って?

のぼりとの杜コラム

どんな仕事でもそうですが、許される失敗と絶対にやってはいけない失敗があります。

葬儀の担当者が案内の中で、絶対にやってはいけない失敗のひとつに「火葬の予約時間に遅れること」があります。
葬儀やお別れは火葬予約時間を逆算して進行していると言っても過言ではないくらい、火葬の遅刻には神経を使います。

火葬に遅れると…
火葬場には予約順に次から次へと各方面からご葬家が到着します。例えば11:00予約のC家が火葬予約時刻に間に合わなかったとします。
火葬場へ…
10:00はA家が来ます。
10:30はB家が来ます。
11:00のC家…予約に間に合わず。
11:30のD家が到着。
12:00からも最後の火葬時刻15:00まではフル稼働状態。
とこんな感じです。

火葬予約に間に合わないと…
その日の最後の火葬に回されたり、予約が入っていない時間帯まで待たされたりと、とにかく大変なことが起きてしまいます。ご家族や参列者の方、お寺様への不都合も生じます。その間に待っている控室もない場合もあります。すべては誘導している葬儀社の責任です。葬儀社へは火葬場から厳重注意や始末書などの提出を求められることも…(>_<)

でも、天候や事故が原因なら仕方ないよね!?
昨夜から今朝にかけては雪予報でした。テレビでも“大雪の恐れ”と報じられていましたよね。葬儀の担当者はどれだけの積雪になるのかとドキドキした夜を過ごしたことと思います(;・∀・)私もそうです?
では、もしも雪道で道路が渋滞してしまい火葬予約時間に間に合わない時はどうなるのでしょうか。
天候が理由だし、何とかならないの?と言いたいところですが原則、火葬場は待ってくれません( ;∀;)
葬儀の担当者は、天候までも先読みをして事前対策を練らなければいけないのです。
出棺時間を早めたり、開式の時間を早めたりする提案をご家族やお寺様にすることもあります。

しかしながら、遅れそうな時は雪害だけではありません。不可抗力的な事故などもあります。
雪害時も含め、万が一遅れそうなときは火葬場へいち早く連絡をし、対応を伺うこととなります。
この連絡をするかしないかで、大袈裟ですが運命も変わります。火葬場の職員も鬼ではありませんので、各火葬時間の狭間で火葬ができるタイミングがないか。その際の控室の確保をできるか。などの対応をしてくれます。でも、連絡を入れてもダメな時はやはりダメです(涙)

仕事としてのジレンマも
出棺時間は火葬予約時間とリンクして設定されています。お花入れ、最後のお別れの後はすぐに出棺です。お別れは辛いものです。私もできる限り時間を作りたいのが本音です。ご家族の表情や、お姿を目の当たりにしていますので「まもなくご出棺のお時間です」とお声掛けすることが何ともツラい瞬間でもあります。でも火葬に遅れるわけにはいきません。

最後に…
火葬予約時間に間に合わないことを業界用語で釜落ちと呼ばれます。
葬儀社にとって釜落ちは、ご家族や参列者、そして火葬場にも迷惑を掛けてしまう一大事なのです。
天候や不可抗力での遅れの際は我々も必死に釜落ちだけはしないように全力を尽くしますので、葬儀に参列された際は、出棺時のスムーズなご移動にも何卒ご協力の程をお願いいたしますm(_ _)m