初心、忘るべからず「焼き団子ができちゃいますね!?」

のぼりとの杜コラム

葬儀業界に入り20年近くが経ちます。この仕事に転職した当初は「無口」「人との触れ合いは大の苦手」「マナー、所作なんて無理」「スーツを着て仕事は初めて」とまぁ、振り返ると懐かしさが蘇ります。また、生まれ変わっても葬儀業界に就く!と言い張る今の自分が信じられません(笑)

新人だったころのお話しです。
ご主人がお亡くなりになり、ご自宅で枕飾り(故人様のご安置の枕もとに設営するお線香をあげる準備の飾り)を設営していました。白木机を用意し、香炉、蝋燭立て、花立、リン、蝋燭、線香を準備。線香を立てる香炉の中には灰を入れるのですが、なんと香炉の中に上新粉を入れてしまいました。上新粉は一膳飯とともに供える枕団子を作る際に使うものです。緊張と焦りでそんな確認もせず、しかも気が付かずに「どうぞ、順番にお線香を手向けてください」と案内までして帰社しました。

帰社後、枕飾りの整理箱を見ると使ったはずの袋入りの灰がありました。それとともにカラになった上新粉の袋が…んんん?なぜだ?とそこで気が付き「まさか、灰と上新粉を間違えた?」

急いでご自宅に再訪し事情を説明した上で香炉を確認すると、やはり中身は上新粉でした(>_<)
汗かきの小生ですが急いでいたのとミスをした焦りとで尋常じゃない汗が噴き出していたことを今でも覚えています。
ご遺族に丁重にお詫びをし新しい香炉を用意し灰を入れ、そして上新粉をお渡ししました。
喪主様は笑いながら「大丈夫ですよ。夫は団子が好きだったし、線香の燃えカスで焼き団子ができてもよかったくらいですもん。夫のために一生懸命考えてくださるので助かっています」と今にも涙が出てくるようなありがたい言葉をかけてくれたのです。

私が今こうして、この仕事で頑張っていられるのはお客様に育ててもらったからだと思っています。新人で右往左往している姿を見せまいとしたつもりでもお客様は気が付きます。
今、後輩には自信がなくても堂々と「入社〇年目ですが、故人様のために一生懸命尽力します!」と伝えなさいと言います。若い葬儀人はみんな喪主様世代より年下になります。人生の大先輩を前にして仕事をしなければなりません。しかし、一生懸命に心を込めて尽くす姿は必ず認めてくれます。わかってくれます。そこから信頼関係が生まれてくる仕事が葬儀屋だと常々伝えています。

私は葬儀は祭壇や棺、骨つぼなどを売る仕事とは思っていません。人と人との信頼関係で成り立ち『人』こそが商品だと思っています。大切な方を亡くされたご葬儀をお手伝いするのです。お客様から「〇〇さんに葬儀の担当をお願いしたい。」この言葉が何よりの励みになります。

今でも枕飾りを設営するときは必ず灰と上新粉をしっかり確認します。初心、忘れるべからず。。。
私の大きな宝物になっている失敗談でした。